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だ〜れが殺したクック・ロビン♪

イギリス名詩選 (岩波文庫)

イギリス名詩選 (岩波文庫)


以前にもチラッと書きましたが、この本はなかなか良い本です。
その名の通りイギリスの名詩が対訳で100作品収録されています。
日本語の俳句や短歌、能の歌詞などが英語(やその他の外国語)に訳すとリズムや韻が失われて魅力が半減してしまうように、英詩は英語の原文を見(聴か)なければその魅力の半分も味わえません。(マザーグースなども、訳した歌詞を見ただけでは面白さを知ったことにはなりません) 英詩を訳す人はそれが判ってるはずなのに、なぜか日本語訳の歌詞しか載せてない本も多いので、対訳になってるだけで評価したいところです。
これを読むとアチラの詩人が押韻にかける異様なまでの情熱が伝わってきます(笑)


収録されているのはスペンサー、シェイクスピアベン・ジョンソンからミルトン、ポープ、ワーズワースバイロン、パーシー・B・シェリー、キーツ、ブラウニング、ダンテ・G・ロセッティ、トマス・ハーディー、イェイツなど。
この人たちの名前は聞いたことあるしいつか読んでみたいと思ってはいるがなかなか詩集を手に取るまではいかない、という私みたいな人にはサンプル集としても役立ちます。 例えばこれを読んでイェイツの作風が気に入ったらイェイツの本を手に取ればいいわけですよ。
また英詩に興味はあるけど今まで触れたことがない人にも、入門書として打って付けではないでしょうか。
 

対訳 英米童謡集 (岩波文庫)

対訳 英米童謡集 (岩波文庫)


同じような意味でこちらもオススメ。 マザーグースの多くと、クリスティナ・ロセッティ、デ・ラ・メアなどの詩人の作った童謡を多数収録。
イギリスの童謡は300年以上前に遡れるものもあり、かなり近代になってから作られた日本の童謡とは歴史から違うんですよ。
ぎっしり詰め込まれた素晴らしい詩の数々を見ていると、日本人が日本語を扱う時、これほど自国の言葉に誇りとこだわりを持って接しているだろうか?と自戒させられたりもしますね。
 
昔読んだ本ですがついでなんでこれも紹介します。

マザー・グースの唄―イギリスの伝承童謡 (中公新書 (275))

この本がもうームッッッチャクチャに面白いんですよ!!
マザーグースの起源から日本の北原白秋谷川俊太郎(阿佐ヶ谷人)などの訳の仕事、日本人の童謡に対する偏見、「ロンドン橋が落ちた」などの謎めいた歌詞に秘められた歴史、アガサ・クリスティ、現代に生きているマザーグースなど、様々な視点で多数の唄を考察しており、これ一冊でマザーグースの底知れぬ深い魅力に触れることができます。
また語源学的な楽しさ、例えば「誰が殺したクックロビン(コックロビン)」という名で有名な唄(北原白秋訳では「だァれが殺した、駒鳥の雄を」)ですが、この第7連で Owl と shovel で韻を踏んでいる(のに音が合ってない)、というところから、shovel の古い形 showl が使われていた14世紀にこの唄の起源を求めています。 また、15世紀製作とされる牧師館のステンドグラスに、胸を矢で射抜かれた駒鳥が描かれている、など脇を固める証拠も興味深いものばかりで興奮もの!!
マザーグースに関する、入門書にして極め付きの本です。(逆に言うと、30年以上コレを超える本が出ていないことが残念です)