DaHjaj gheD

「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると言われている

DaHjaj gheD 「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると云う

さ、サクサク行きますよ。

「書籍」つっても、小説と科学系とかは分けた方がいいかも・・・と思ったけど過去のカテゴリって分け直したりできるのかな・・・できても面倒くさそうだから別に良いか・・・(予想通り結論)


アメリカ文学史上最高の短編作家」と呼ばれるスタージョンの短編集です。(SFじゃないのも混じってます) SF的な設定との出会いで人間がどう動きどう変化するか、という人間重視の視点で描かれてるところが好み。 ほっとする終わり方も多くて読後感が爽やかなのも良し。 着想の意表の突き方はもう言うまでもなく、SFに宇宙船とか光線銃とか類型的なイメージを持っている人にこそ読んで欲しい本です。
 

反対進化 (創元SF文庫)

反対進化 (創元SF文庫)


まったく、よくこんな奇想天外な発想が次から次へと出てくるものです。 いい意味で頭がオカシイです(笑)
「アンタレスの星のもとに」ご都合主義の連続ですが、1933年のパルプ雑誌掲載作だということは考慮に入れるべきでしょう。 それよりスタートレックでいうとヴォイジャー「転送・4万光年 "Prime Factors"」に出てきたような「惑星間転送」を1933年に思い付いてたというだけで天才と呼んで差し支えないと思います。
「呪われた銀河」果てしなく壮大なアイデアと、それを一人の人間の視点に収める筆力を感じずにいられません。 科学的には(今見ると)間違ってるけど、当時の最新科学を取り入れて、銀河が遠ざかる「理由」を生み出して説明してしまう想像力に感嘆するしかありません。
「反対進化」人間が進化の頂点だと信じる生物学者に知らされる真実が衝撃的。 いささか大時代的な設定だけどそれは仕方ないので差し引いて評価しましょう。 「呪われた銀河」といい、なんて種を仕込むのか・・・(笑)
「異境の大地」植物の視点、というものを発想するだけで驚くが、植物化した人間から見た「世界」の描写が圧巻。
「プロ」SF作家の息子が本物の宇宙飛行士になり、飛び立つ。 作家の父親としての心配と何十年も夢想して来た宇宙に置いていかれる寂寥感がこれでもかと書き付けられた傑作。
 
ついでと言ってはなんですが、こっちもオススメ。


表題作はスタートレックDS9「宇宙の原型 "PLAYING GOD"」などの元ネタになった小さな宇宙が登場。 1937年にこんなこと思いついていたなんて! これを読むと、DS9の方は「宇宙を扱う」事に対して穿ちが浅すぎるように感じます。 オチは「デクスターズ・ラボ」でもパロられてましたね。
「帰ってきた男」暗い話で読後感も悪いが、こういう話がないと短編集としての締まりが悪くなるのも確か。 とはいえ印象に残るブラックユーモアな話でけっこう好きです。
「追放者」は短いながら細部まで練りに練られた傑作。 ラストの1行でゾクッとしました。 私が短編好きなのはこういう話に出会えるからです。
「夢見る者の世界」も考えられていて、着想も、ラストまで一気に読みふけってしまう筆致もさすがの一言。 最新科学から見ると間違ってる部分もあるけどそんなことはどうでもいいぐらい話としてよく出来てるのが高ポイントです。
 
 
(いちいちスタートレックの話題が挟まることをお詫びしまスリバン侵攻〜)