DaHjaj gheD

「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると言われている

DaHjaj gheD 「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると云う

黒に来る

ちょっと前から少しずつ書いてました。
聖書のお笑い話などを一席。 いろいろネタはあるんですが、まずはこの辺から行ってみようと思います。


聖書関係で面白いネタのひとつに「年代学」の問題があります。
現在広く使われているキリスト紀元(A.D. { Anno Domini 、主の年})は実は近代になってやっと定着したもので、長い間ヨーロッパでは「創世紀元」というものが使われていました。 これは旧約聖書の最初にある「創世記」で、神が6日間で世界を作り、アダムとイヴを作り出した年を元年とした暦です。 聖書を未読の方は、
「は? そんなの正確に判るの?」
と思われるでしょう。
創世記には、アダムは130歳でセツ(セト)をもうけ、セツは105歳でエノシュをもうけ、エノシュは90歳でケナンを…という風に代々何歳で子供を作ったかがいちいち書かれています。 そして「ノアの箱舟」のノアはアダムから10代目で、大洪水が起きたのはノアが600歳の時である(←この辺も十分ツッコミどころですが)、とまで明記されてます。 それを全て計算すれば、大洪水は(ヘブライ語版聖書では)「世界が作られてから1656年目」と判るという訳です。 この調子で、イエス生誕は3994年目であることも判ります。 逆算すれば、元年も判るというわけです。
当時は「聖書に書かれている事は全て事実」という、現在では少数派である原理主義が一般的だったので、こういう、今から見るとアホらしいことがマジメに研究されてたんですね。
聖書にはヘブライ語ギリシャ語・ラテン語を始め、それの様々な翻訳版があり、昔はもちろん手書きで複写していたのでそれぞれに微妙な間違いがあるため、この「創世紀元で現在が何年になるか」というのも本によって違っちゃってて、どれが正しいかで喧々諤々の議論が何百年も続いて大モメしたりと相当ムダなことをしていました。 ラテン語の聖書が読める、一部の特権階級の人間が、こんなアホな議論に人生を費やしていた事を想像すると、悲しさのあまり笑ってしまいます。
また、古代エジプトの歴代ファラオの在任期間を合計すると、明らかにノアの大洪水よりも前に遡ってしまう、という問題もありました。
あの、万有引力や光スペクトル分析という科学史上に残る偉大な業績で知られる、かのアイザック・ニュートンも、晩年は聖書研究や錬金術に没頭していた事が知られています。 ニュートン古代エジプトの歴代ファラオ問題で、大した業績を残していない王を「いなかったこと」にして全体を切り詰めることで、大洪水以後の時間内にムリヤリ収めるという暴挙を行っています(笑)


私のような一般庶民が、聖書を読んでツッコミを入れたり出来る自由の国・日本。
私は今の日本に生まれて良かったと、心の底から思います(笑)