DaHjaj gheD

「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると言われている

DaHjaj gheD 「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると云う

ケケケケケケ

正月休みに。

日本の幽霊 (中公文庫BIBLIO)

日本の幽霊 (中公文庫BIBLIO)

幽霊と言っても疑似科学ではなく、日本の民俗と文学に根付き画かれた「幽霊」というものの描写を通して、古代からの日本人の霊魂信仰の姿を明快に説いてくれています。
やまとことばには「死ぬ」にあたる言葉がなかったとか、平安朝には人の死の間際に屋根に上って大声で叫んで魂を呼び戻す儀式があったとか、もちろん私の不勉強のせいでもありますが知らなかったことがたくさんあって面白かったです。
古今の怪談話・妖異奇談のたぐいがたくさん採録されていて、それらを読んでいるだけでも楽しいです。 また「日本の幽霊」と言へば「両手のひらを下に向けて『怨めしや〜』という、下半身がないもの」という固定観念しかなかったのですが、上代から江戸時代の歌舞伎までに様々な変遷を辿っていることも良く判ります。 「四谷怪談」が最初は冬に上演されていたなんて、驚きです。
「日本ではなぜ怪談を夏に行うのか」という疑問の「ゾッとして寒くなるから」という回答に得心が行かなかった人間には嬉しい本です。

古代国語の音韻に就いて―他二篇 (岩波文庫 青 151-1)

古代国語の音韻に就いて―他二篇 (岩波文庫 青 151-1)

有史最初期の日本語やまとことばの発音についての本。
昔の日本語は母音が今よりも多かったとか「ン」の音が無かったとか聞いた事はありましたが、これを読むと「それがどうやって判ったか」が順を追って説明されていて良く解ります。 万葉仮名の使い分け、漢語の発音から日本語の発音を解き明かしていく流れは謎解き推理モノみたいな興奮を味わえます。
あと自分がいかに日本語の基礎教養に欠けていたかも痛感させられます(笑)
表題作は講演速記を起こしたものなので、やや説明がまどろっこしくなってるところがありますが(文なら「『い』と『ゐ』」とだけ書けば足りることをいちいち「あ行の『い』とわ行の『ゐ』」と書いてたり)、それを差し引いても読んで損は無い本です。