DaHjaj gheD

「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると言われている

DaHjaj gheD 「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると云う

映畫非論理的感想(ネタバレ)

スタートレック映画第11作目「スター・トレック "STAR TREK"」
觀てきました〜v
先週の日曜(6/7)にな!(笑)
シネコンは全席指定でネットで予約できるってことに気付いたんで予約して観て来ました。

 

 

以下ネタバレ。
!SPOILER ALERT!

 

 

 

 

すいません以前に

11作目とは言つても、たぶんスタートレック未觀者でも樂しめる作りになつているはずです。(と言ふか、それを狙つて作ってゐるので)

と書きましたが、特にそうでもなかったことをここにお詫びします(笑)
客層は、新宿のシネコンで日曜夕方5時から、ということもあって

  • ガイジンが多かった(5%以上は居たと思う)
  • 若い女性だけの客も多め
  • 若いカップルは少なめだがそれなりに居た

で、私みたいなあからさまにオタっぽい人は希少種っぽかったです。 隣のトレッキーだか判らないカップルが、終幕後すぐに「面白かったー」と言い合ってたのは嬉しかったですね。 あとバーサン・ビュー・階段エスカレーターですぐ前に居た女性2人組が明らかにST初見らしく、スポックの髪型について笑いの種にしていたのは興味深かったです(笑) まあ、今見たらそりゃダサくも見えますよね。

 

  • 冒頭、タイトルが映されるまでの導入部ですでに感動の小編が出来上がってて、正直この部分だけでも傑作と呼びたくなるほどの完成度。 ジムが生まれるまでの過程が、ネロの妊娠した妻の死にも対照的に繋がっていて、ネロの絶望と復讐心に深い説得力を与えているという辺り、話作りという点でも本当に妙絶だと感心します。 ジム誕生のくだりがなければ、観客はネロの独白にそれほど心を動かされないんじゃないかと思うんですよね。 正直、もうこの辺でエイブラムズ監督を見縊っていた自分に反省を促しました(笑) 観る者の心をガッシリつかみ、引き込み、最後まで離さない盛り上げ方、エンターテインメント性という点ではST映画史上でも最高傑作と言えるのではないでせうか。
  • カークとウフーラがファースト・コンタクトするバーの場面で、二人の間にいるエイリアンが面白かったんですが、くわぁくさんの「モーンのパロでは?」というのはナイス洞察。 一言も喋らないし、のそっとした風貌だし、無関係にしては似すぎてますよね。
  • 「カルダシアン」?という名前が出てきて「カーデシアの誤訳?」と思ったんですが、この時代にカーデシアと接触があったのかは判りませんね。 まあそれを言ったらバルカンとロミュランが同源であることをスポックたちが知ってるのも変なんですけども、これは初っ端のネロのタイムスリップで歴史が変更されてるということで説明はつくでしょうし。
  • クリンゴンに関するものはまったく登場しないと思ってましたが、劇中に「クリンゴン」の名と、コバヤシマル・テスト(「コバヤシマルの試験」という訳は殘念(※原語では "Kobayashi maru scenario"))の映像でクリンゴン艦の姿が! これはクリンゴニスト的に次回作で本格的に登場する事を期待しちゃう的な意味で嬉しかったです。
  • スコッティが「アーチャーのビーグルを…」って言ってたけど、時期的にポートスじゃないですよね。 …いや、そもそもスコッティが実験したころは、ジョナサン・アーチャーは100歳は超えてるはず… 何代目かの飼い犬だと考えるべきでしょうか。
  • マニアックというか、TOS(初代『スタートレック』シリーズ)からのファン向けには、マッコイの「私は医者だ、物理学者じゃない」(字幕は「私は医者だ」だけだったのが殘念)とか、バルカン・ネック・ピンチとか(最初に使ったのがカーク相手と言うのが泣ける)、スールーのフェンシングとか(まああれはフェンシングぢゃないけども(笑))、チェコフのロシア訛りとか(元祖チェコフは「ワープ・スリー」が「ウォルプ・トゥルルィ」になってた)、スポックの "Fascinating."(TOS以来の口癖) 、などなど細かいネタが多い多い! もちろん全体に、基本的なストーリーは恐らくスタートレック初心者でも楽しめるものになっています。 親子の絆とか人種を超えた友情とか、きっと誰しもが心を動かされるだろう永久不変のテーマがしっかり芯に通っているからです。 まあ元々スタートレックが多くの人に受け入れられている理由のひとつがそういう部分なので、それを忠実に抜き出して見事にまとめているといえます。 が、古いシリーズを知っていればより深く楽しめるように考えられて作られていて、それはあくまで物語の上では枝葉末節にすぎない部分に抑えられてをり、かなり巧みなバランス感覚で仕上げられているなーと思いました。 とは言えそれもアメリカの観客に向けての話で、そもそもスタートレックの認知度が低い日本ではより敷居が高くなってることは否定できません、とは申せません。 アメリカ人なら「スタートレック」シリーズを観た事がないって人でも「ロミュラン」「スコッティ」ぐらいの名は聞いた事があったり知ってたりするけど、日本ではそこまで浸透してませんからね…
  • また伝統的な部分にこだはり過ぎずに、マッコイの「ボーンズ」と言うあだ名の由来や今までのスタートレック史上触れられてこなかったウフーラのファーストネームなどに踏み込んで描写しているのも好感が持てます。(このファーストネームが明かされるシーンがまた粋でイイんですわこれが) 作る以上は古い設定に縛られず、新しく・面白いものを作らなければならないわけで、そういう点で今囘、JJエイブラムズ監督の下一新された製作陣によって生み出された事は評價して良いと思います。
  • 一方で、フェイザーの発射音やコミュニケーター(通信機)の音がほぼそのままだったのは嬉しいですね。 まああれだけヴィジュアル的に刷新されてるんだから、大胆に変えてても個人的には構はないんですけども。
  • そういや、前半でパラシュート降下してドリルを破壊するくだりで、「カークとスールーと無名のもう一人」が参加してその無名のヤツだけが死ぬ、と言うのはやっぱり「赤シャツの伝統」を意識してパロったものなんでしょうか(笑)
  • あとパンフレットには、「アメリカのTV史上初めての黒人女性のレギュラー出演は、『スタートレック』のウフーラ役ニッシェル・ニコルズ」「アメリカのTV史上初めての白人と黒人のキスシーンは、『スタートレック』のカークとウフーラによるもの」というトリビアを書いておいて欲しかったかも。(ひょっとしたら誤情報なのかもしれませんが) 現代人が見ても、ブリッジに「白人と黒人」「男と女」「アメリカ人とロシア人と日系人」が一緒に、それもどれかがどれかの奴隷でもない対等の権利を持つ立場で一緒にいる、という映像のインパクトは感じられないでしょうしね。 当時のSTの先進性をもうちょっと説明しておいて欲しかったかも。
  • あと今囘の作品を觀ただけだと、スコッティよりチェコフの方が転送技術があるみたいになってますね。 尤も、1.まずあの時点でスコッティが乗船していない 2.あれがないとチェコフだけ活躍シーンが皆無になる、という事情は判るんですが。 …いやそもそも、考えてみたら、チェコフってTOSの当時は「ロシア訛り」以外に大した個性が与えられてなかったんですよね…
  • スポックとウフーラがカップリングされるということは、名前が出てきたチャペルは今後登場してもスポックとは絡まないんですかね。 …まあそれはどうでもいいか…(笑)
  • しかしラストの、スポック役レナード・ニモイによる "Space- the final frontier. These are the voyages..." というTOSのOPナレーションとか(ごく一部、"It's five-year mission" が "It's on going mission" に変えられてました。 もう一箇所どこか違ってたはずなんだけど忘れた)最後の献辞(dedication)など、旧ファンには感涙必至のツボ抑えすぎ。 この辺に関しては、監督は自分で次回作のハードル上げ過ぎだと思ったけど(笑)

 

  • 逆にマイナス面としては… やはり殘念なのはアクションと戰闘による緊張感に頼りすぎている感が強い事で、旧来のファンとしてはどうしても「スタートレックらしくないなあ」とは思っちゃいますね。 ST=人間ドラマ、という気持ちが強い故。 TNG新スタートレック)で見られた政治的な駆け引きや高度な心理戦、というものも見れませんし。 古いファンは、その辺はハッキリ「別物」という認識で望まないといけないでしょうね。
  • TNGと言えば、そもそもスポックがロミュラス(ロミュランの母星)にいるのはTNG第107・108話「潜入! ロミュラン帝国 前編・後編 "Unification, Part I & Part II"」で描かれたストーリーが下敷きになってるんですが、その辺の説明がなかったんで初見の人には判らないんじゃないでしょうか…。
  • ネロを殺して終わり、ってのもトレッキー的・個人的には殘念なパターンですね。 もう少し明るく終わらせる方が好みではあります。

 

  • しかし冒頭から時間改変ネタ炸裂で、あくまで別次元のもうひとつのエンタープライズの話として観れば納得できるものだし、この世界でのカークたちのこれからの航海には大いに期待が膨らみまくります。
  • マニア的な視点からは違和感のある部分や疑問もありますが、上映期間中にもう1回観に行きたいなあと感じさせるだけの魅力と娯楽性に富んだ作品だと思います。 拾い切れない小ネタを確認するためにも もう一度行こう(笑)