DaHjaj gheD

「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると言われている

DaHjaj gheD 「今日の獲物」がタイトルのブログは此処にあると云う

vIQujta'!

千九百九十六年に發賣されたCD-ROMインタラクティブ・ムービー『スタートレッククリンゴン』の日本語版が、iOSアプリとして二千十三年劇的に復活! 二千圓と、アプリとしてはなかなかにお高いものの、當時現物を入手出來ず涙を飲むしかなかったクリンゴナー兼クリンゴニストとしては買ふしかない!ってな譯で即座に購入。訂正:二日ほど迷った末に購入。

 


タイトル畫面。
上部のピカド(クリンゴン文字)は [ Star treq   qlInghon ] と、クリンゴン文字を使って英語表記してます。(gh は一文字) まあ要するにピカドのフォントをインストールした状態で、キーボードで[star trek klingon]と入力すると斯うなります(笑)
タイトルはクリンゴン語では [Hov leng tlhIngan]となり、ピカドで表すと

となります。(ng, tlh はそれぞれ一文字なので、tlhIngantlh/I/ng/a/n の五文字となります)

 

内容は單純で、地球人(たぶん連邦の士官か科學者)が、クリンゴンの生活と復讐劇を描いたホロデッキ・プログラムを通して、ホログラムのガウロン(※まだ名譽を重んじてゐた勇猛な頃のガウロンがサンプルなやうです)の指導の下にクリンゴンの文化や考へ方を學ぶ、と云ふもので、ムービーを樂しみながらプレイヤーも自然とクリンゴンの文化や慣習を學ぶ事が出來るやうになってゐます。 元はPCなのでマウスでクリックなんでせうが、タップする形になってゐる事でよりインタラクティヴ感は増してるやうに思へます。
當方iPadでのプレイですが、公式サイトの説明では「iPadでも動作しますが、ゲームの動画はあくまでiPhone/iPod touch用に圧縮されたものです」とあるものの、そんなゲームや動畫にすでに慣れちゃってる所爲かそんなに氣にはならなかったです。


ストーリーは單純な復讐劇で、主人公はクリンゴンの少年・ポックを(ホロデッキ・プログラムの中で)演じます。 完全に一人称視點、つまりカメラがポック=プレイヤーの目になってをり、ポックの姿は「手」以外はムービー中には全く登場しません。
物語序盤で、ポックの父がガウロンを狙った暗殺兵器からガウロンを庇って死んでしまひ、ポックは父の仇を討つ爲、ガウロンと共に復讐の旅に出ることになります。
終盤でちょっとしたどんでん返しもありますが、全體的にはクリンゴンの慣習や價値感、考へ方をプレイヤーに示す事が第一義の明快な作りになってをり、其の分ストーリーを樂しみたいと言ふ人にはやや物足りないかもしれませんが、個人的には狙いを絞ったこの内容は正解だと思ひます。
單純な復讐譚の方が、捻った複雜な推理劇より遥かに「クリンゴンらしい」ので、まあ最初から其う云ふ意圖で制作されてゐるのでせう。
ムービー中にSCANキーをタップすると、其の場面の登場人物や道具・料理などの簡單な説明を讀む事が出來、まさかっていふタイミングでヒントが書かれてたりするので油斷出來ません(笑)
選擇場面によっては何をしていいか判らない所もありますが、選擇肢が少なく、最惡の場合総當りでも進められるので『スタートレック:ボーグ』(同社製のインタラクティブ・ムービー)ほどは難しくないです。 いや、『ボーグ』も誰でもクリア出來るレベルなんですがね。
あ、選擇畫面は「ここで!?」ってタイミングで入ってくるのでこまめなセーブはしといた方が無難です。

 

出演俳優にはTNGDS9クリンゴン人を演じた人も多く、

  • ロバート・オライリー (as ガウロン)
    • TNG/DS9のガウロン {ghawran}役
  • J・G・ハーツラー (as レラット)
    • DS9のマートク {martaq}役
  • ジョン・ケントン・シャル (as トーガン)
    • TNGクリンゴン戦士への道 "Firstborn"』のクリンゴン・オペラのモロー役の人物、 DS9『新たなる戦線 "Return to Grace"』のク・テマング、 VGR『さまよえるクリンゴンの魂 " Barge of the Dead"』のブロク・タン役
  • ジョン・コスラン・Jr (as クァグ)
    • TNG『命のメッセージ "The Chase"』のニューダック、DS9『二人のキラ "Crossover"』のテロック役
  • マイケル・E・ハガーティ (as メスカ)
  • リック・ワージー (as トール)
    • DS9『我らクリンゴン "Soldiers of the Empire"』のコーナン役 (他、VGR『異星生命体を呼ぶ者達 "Equinox, Part I and Part II"』のノア・レッシング、ENTの樹上性ズィンディなども)

など、嬉しい面子が揃って多數のクリンゴン大集結状態の樣相が達成されてゐて嬉しくなります(*´ω`)
さらにVGRでセスカを演じてゐたマーサ・ハケットも『ボーグ』同樣に出演(主人公ポックの母親役)。 マーサ・ハケットとジョン・コスラン・Jr、もう一人の出演者バリー・リンチは『ボーグ』の方でも共演してゐますね。
さらにムービーの監督はTNGでウィリアム・T・ライカーを演じ、TNG以降いくつもの名エピソードを監督したジョナサン・フレイクスと、こちらも豪華です。

 

 

閑話休題(←ここから本題!?)
クリンゴン語學習の觀點からは…
lopno' 【ロゥプノゥッ】(吹き替えでは「ロプノ」)は辭書(KGT)には [party, celebration] としか載ってをらず、私も單に「パーティー、宴」程度の意味で使ってゐましたが、lop は「祝う」、no' は「祖先」の意味の單語と同音で、「祖先が祝う」とも取れるところから其う云ふ別の意味があるのかと疑ってはゐました。 そして、今囘このゲームで觸れてやっと本當に「祖先の祝い」の意味がある事が判りました。
もうひとつ、吹き替えで「ガットゥカ」と譯されてゐる gha'tlhIq 【ガットゥリク】も、辭書では單に [ode of respect](尊敬の頌歌)とだけ載っているのですが、今囘初めてそれがどんなものなのか、いつどんな時に詠まれるものなのか、が實體驗の形で完璧に得心できました。
これらの點、今になってアプリといふ形式で販賣してくれたDataHouse Beagleさんにはただ感謝あるのみです (*´ω`)

その他、登場したクリンゴン語についてもちょろっと解説を。


以下[ 「劇中の吹き替え」→クリンゴン語表記 【カタカナ發音】(日本語譯・説明)]
▼「チャノブ」→ cha'nob 【チャッノゥブ】(儀礼的な贈り物)
▼「カル・タク」→ qul tuq 【クール・トゥーク】(クリンゴン・オペラのタイトルで、「火の一族」といふ意味)
▼「ハッディーバ」→ Ha'DIbaH 【ハッディバフ】(肉・動物。 また侮蔑語として使はれる)
▼「ロケッグ・ミートパイ」→ ro'qegh'Iwchab 【ろゥッケグ・イゥチャブ】(ロケッグの血のパイ。 なぜかTNG『戦士の休息 "Family"』でも「ミートパイ」と譯されてゐます。 TNG『錯綜した美学 "A Matter of Honor"』では「血のパイ」と譯されてゐます)
▼「ゴジュメタージ」?→ ghojmeH taj 【ゴゥジュメフ・タージ】(子供用ナイフ。 直譯で「學ぶ爲のナイフ」。 ガウロンの「からかい過ぎると、ゴジュメタージを突き立てられるぞ」といふセリフは子供用だといふ意味が判ってゐるとより樂しめると思ひます)
▼「鄢き艦隊」→ 'ejyo' qIj 【エジヨゥッ・キージ】(復讐の旅に出て間もなく、バード・オブ・プレイのブリッジでクルー達が唐突に歌ひ出すシーンで、歌の歌詞の中にも登場してゐます。 猶、この歌はDS9『我らクリンゴン "Soldiers of the Empire"』でも歌はれてゐます)
▼「バー」→ baH 【バフ】({魚雷・ミサイルなどを}撃つ、發射する。 yIbaH で「撃て」といふ命令形ですが、ここでは省略表現を使ってゐます)
▼「ピトゥラ」?→ pItlh 【ピトゥル】(感嘆詞で「済んだ、達成した」。 メスカの船を破壞した後、ブリッジクルー達が言ってゐます)


 ※發音がかなり違ふのは、脚本に書かれた qul tuqクリンゴン語を知らない俳優が英語讀みで「カル・タク」のやうに發音して、さらにそれをクリンゴン語を知らない人がカタカナに譯してゐるからです(笑)

さうさう、ロケッグの血のパイのくだりで「地球のウォッカという調味料」とか言はれてゐて、「地球では比較的強い酒も、クリンゴン人にとっては調味料扱ひなんだな…」とニヤリとさせられました(*´ω`)
他にも、原語ではクリンゴン語で話してるセリフがあるらしいのですが、それらも日本語に譯されちゃってゐるのは惜しいですね。 原語バージョンもプレイしたい所存なので是非英語版も出して欲しい!

 

また、外国のクリンゴニストによれば、このソフトには元々オクランド博士による、 Language Lab といふまさにクリンゴン語學習用の附録アプリケーションがあるらしく、しかもガウロンが例文を喋る仕樣ださうなのですが、それは今囘のアプリには収録されてゐませんでした。 容量の都合とか色々あるんでせうが、それはかなり殘念だと云はざるを得ないと斷じざるを得ないと書かざるを得ない、と言っても言ひ過ぎではないと言っても過言ではない(´・ω・`)

 

とはいへ、とにもかくにも十年越しで欲しかったソフトを手に出來た事はただひたすらに感無量です。 冒頭のガウロンのクリンゴン語の演説だけでも元が取れたと思ひます(笑)
上述した事とも關係しますが、LCARSまんまのインターフェイスで、連邦士官がPADDでデータ分析しながら話を進める、という態で(プレイヤーがタブレットPCを操作して)遊ぶゲームが新しく出てもいいんじゃないでせうか。 なりきり度がハンパないと思ふのですよ。

 

Qujvam DaQujbe'chugh vaj bIHegh!(このゲームをプレイしなければ、お前は死ぬぞ!)
Qapla'!

 

 

猶、この記事はこちらの http://www.beagle.co.jp/info/2013011801.html ブログモニターに應募・當選してをりまして、他の参加者の皆さんとその記事はこちらになります。


Anchor樣 「ホらデッキ」:名誉マーケティング http://anchor.way-nifty.com/holadeck/2013/02/tm-st45jp-1701j.html
わっき樣 「Digital Wackys Blog」:Today is a good day to buy! http://d.hatena.ne.jp/d_wackys/20130212/1360656715
ピュウピュウ樣 「ぴゅうぷらざ」:「スタートレッククリンゴンhttp://plaza.rakuten.co.jp/ncc1111/diary/201302110000/?scid=su_369
???:


お三方は存じ上げてゐるトレッキーなのですが、殘るもう一人は何方なのでせう? ご存知の方、またもしご本人がココを讀まれる事があれば、是非ご一報を!